*一番上の画像は僕所蔵の本です。「宇宙戦艦ヤマト」(西崎義展・原案、聖悠紀・作画/カラー・発行)より引用。
アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のコミカライズ版は、スタッフでもあった松本零士先生版と、ひおあきら先生版が有名ですが、同時期に「月刊テレビランド」(徳間書店)で連載されていた聖悠紀先生版も存在していました。
「宇宙戦艦ヤマト」松本零士先生版の記事はこちら↓
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目次
【漫画紹介】「宇宙戦艦ヤマト」松本零士・著【おすすめ】
*一番上の画像は僕所蔵の本です。「宇宙戦艦ヤマト」(松本零士・著/秋田書店)より引用 *2023年2月13日に松本零士先生は満85歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 アニメ「宇宙戦 ...
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聖悠紀先生は「超人ロック」の作者として有名ですが、1970年代はアニメや特撮物のコミカライズを数多く手がけていました。
「超人ロック」の記事はこちらから↓
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【お宝漫画】「超人ロック」聖悠紀・著【おすすめ】
*一番上の画像は僕所蔵の本です。「超人ロック」(聖悠紀・著/SG企画)より引用 *2022年10月30日に聖悠紀先生は満72歳で逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 毎年6月9日は「ロッ ...
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「宇宙戦艦ヤマト」もコミカライズの仕事の1つですが、松本零士先生版や、ひおあきら先生版に比べると知名度はそれほど高くありません。
それもそのはず、聖悠紀先生版は未単行本化作品だからです。
これは「月刊テレビランド」での連載は1話につき12~13ページ程度しかなく、第5話までの連載と読切番外編を含めて全76ページしかないため、単行本化するには圧倒的にページ数が足りません。
そして生原稿の一部が散逸されたのも単行本化されない大きな理由でもあります。
そのため聖悠紀先生版を読むには、1974年~1975年当時の「月刊テレビランド」を揃えるしかありません。
「月刊テレビランド」にはアニメや特撮物の記事やコミカライズが載っていました。この頃のアニメは世間的には「テレビまんが」と呼ばれていて子供向けだったため、「月刊テレビランド」の読者層も主に小学生でした。
アニメ専門雑誌である「月刊アニメージュ」(徳間書店)や「アニメック」(ラポート)が出版されるのは「宇宙戦艦ヤマト」が劇場公開された1977年であり、「月刊OUT」(みのり書房)がアニメ路線の雑誌になった頃でもあるので、それ以前はファンがアニメの情報を専門的に知ることが困難でした。唯一情報が載っているのが「テレビマガジン」(講談社)や「月刊テレビランド」でしたが、読者層が主に小学生のため、当時の小学生で「月刊テレビランド」を保存している人は稀でしょう。
また当然単行本化されていないため、後年ヤマトファンが聖悠紀先生版を読みたくても読むのが困難なのは当然です。
それが「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版が「幻の漫画」と呼ばれる所以です。
それがなんと2025年7月28日に「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版の単行本が発売されました!
これはアニメ「宇宙戦艦ヤマト」放映50周年記念の企画の1つとして挙げられたものです。
2024年10月6日、新宿ピカデリーにて「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年記念上映会が行われました。このイベントは新宿ピカデリーをメイン劇場にしてライブビューイングで他劇場にも配信されました。
僕はMOVIX亀有でライブビューイングを観ました。写真は劇場で撮影したもので撮影可タイム時のものです。
庵野秀明監督(新世紀エヴァンゲリオン)、出渕裕監督(宇宙戦艦ヤマト2199)、氷川竜介さん(アニメ特撮研究家)が「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年記念上映会に登壇したときに企画の1つとして「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版の単行本化が発表されました。
庵野秀明監督と出渕裕監督は学生時代に「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版を読んではいたものの、当時の風潮もあってか小学生向きの雑誌を買うことに抵抗もあってか、雑誌は買わずに立ち読みをしていたそうです。
しかも当時は聖悠紀先生もまだ新人であり、庵野秀明監督も出渕裕監督も聖悠紀先生のことはよく知らなかったそうです。ただ少女漫画のキャラの画風でメカがやたら上手いという印象が強かったそうです。
その後、コミックマーケットにて「作画グループ」で頒布されていた「超人ロック」を知ったことで「宇宙戦艦ヤマト」を描かれていた聖悠紀先生に結びついたそうです。
出渕裕監督は聖悠紀先生のことを知っていくうちに、「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版が載っていた「月刊テレビランド」を買わなかったことを後悔し、高校生のときに徳間書店に直接電話してバックナンバーを入手したそうです。
「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版の単行本化はヤマトファンにとっての夢でもあります。
庵野秀明監督は「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年を節目として企画の1つに挙げました。
ただ問題は生原稿が散逸している状態のため、それを探す必要がありました。情報提供を呼びかけ、行方不明になった生原稿の回収と保存状態の良い「月刊テレビランド」の提供を求めていました。
残念ながら全部の生原稿の回収には至らず、「月刊テレビランド」からスキャンするページも出てきました。
昔の漫画が単行本化される際、生原稿が紛失していた場合、掲載誌からスキャンして原稿データにすることがあります。しかし昔の雑誌は紙質が粗く、また経年劣化でインクが滲んでいることもあります。
そのままスキャンしても画質が粗いデータになってしまいます。そのため画質を整える「レタッチ作業」が必要になります。
今回そのレタッチ作業に石森プロの早瀬マサト先生が参加されていました。
実は聖悠紀先生と石森プロは少なからず縁があるそうで、また早瀬マサト先生は以前、石ノ森章太郎先生の全集を出版する際に原稿をレタッチ作業で修復されていたそうです。
早瀬マサト先生自身も聖悠紀先生の大ファンであり、「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版の単行本を待ち望む1人でもあります。
レタッチ作業とは画像ソフトによって原稿を修復することです。原稿の汚れを消し、ベタのムラを無くし、線の滲みを整えます。
「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版は2話分と1ページの生原稿が見つからなかったため、掲載誌からスキャンした原稿データをレタッチしています。

レタッチ作業でだいぶ生原稿のクオリティには近づくものの、斜線の掛け合わせなどは修復は難しく、どうしても掲載誌の印刷の粗さは残ってしまいます。また網トーンなどはドットそのものが滲みがあっても一点一点ずつ修復することは困難なのでどうしてもムラは残ってしまいます。上の写真はコスモゼロの見開きですが、画面は綺麗にレタッチされているものの、機体の網トーン部分は粗いムラになっています。
斜線も手間はかかりますがレタッチは可能だとは思いますが、聖悠紀先生のタッチを損なう可能性があるので、印刷の粗い掲載誌からの再録であっても修正の手は加えられないのかもしれません。
それでも早瀬マサト先生は極力、生原稿に近い再現をされていますので、その苦労は相当なものです。
当ブログでは【お宝漫画】のカテゴリには、僕が昔に買った漫画で今ではレア物扱いされているものを紹介することが多いですが、「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版は50年前のレア物漫画ではありますが、単行本発売が50年後の2025年7月28日なので、新刊なのにレア物ということで【お宝漫画】のカテゴリに入っています。
「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版は月刊連載で12ページ~13ページでした。しかもテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の放映とシンクロしているので、短いページ数の中でストーリーが相当ダイジェストになり、また聖悠紀先生の大胆なアレンジもされています。
当然、聖悠紀先生は漫画執筆時に、該当する話数のアニメの完成品を観ていません。どうやらアニメの準備稿を見て描かれているそうです。そのため放送されたアニメとは内容が異なることがあります。
第1話はガミラスの最初の地球攻撃からヤマト発進まで描かれていますが、これがたった13ページで描かれています。
しかもタイトルページとヤマト発進シーンで見開きが2回も続けられています。テンポがメチャクチャ早いです。
テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」は全26話なので、放送と同時進行で月刊誌連載する場合には、漫画1話につきテレビアニメ4話分の内容を盛り込まなければなりません。
しかし漫画の連載は1話12ページ~13ページしかありません。そのため漫画はどうしてもテレビアニメのダイジェストになります。
テレビアニメでは地球防衛軍対ガミラス帝国軍の「冥王星海戦」から始まっていますが、漫画では「冥王星海戦」のシーンは描かれていません。漫画では主人公の古代進に焦点が合わされており、地下都市で待機しているところに「冥王星海戦」から帰還した沖田艦長と出会い、兄・古代守の戦死を聞かされます。
そしてガミラス帝国軍の艦隊が地球に攻めてきたところでヤマトが発進します。
テレビアニメ版では、ヤマトは戦艦大和の瓦礫の中から外装を剥がして発進しますが、コミカライズ版はヤマト全体は地面の下にあり、地面を割って浮上します。テレビアニメでは印象的だった戦艦大和の瓦礫のシーンが無いのは少々残念ですが、13ページの中でヤマトを発進させなければならないので悠長な事を言ってはいられません。しかし見開きで地面の中から浮上するヤマトの姿は迫力があります。聖悠紀先生の画力の高さがうかがえます。
テレビアニメ放送と月刊誌連載が同時進行のため、漫画で描かなければならないエピソードのアニメ本編を聖悠紀先生は観られていないようです。単行本内に収録されている庵野秀明監督と出渕裕監督の対談記事では、どうやら準備稿の段階でそれを元に漫画を描かれていると書かれていました。
コミカライズ版のヤマトでは第1話でヤマトが地面から発進した直後に波動砲を発射しているので、読んでて度肝を抜かれましたが、どうやらアニメの準備稿ではそのような展開になっていたそうです。
テレビアニメ同時進行のコミカライズの宿命かもしれませんが、コミカライズの内容が実際に放送されたアニメの内容とは異なることがあります。
それはテレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」のスタッフだった松本零士先生も例外ではありません。
ヤマト・ファンには有名な話ですが、コミカライズ版にはキャプテンハーロックが登場します。これはアニメの設定でも元々あったものですが、実際に放送されたものではオミットされています。
キャプテンハーロックはプレイコミック版(秋田書店)が一般的には知られていますが、アニメの初期設定では近い感じでキャラクターデザインが描かれています。しかしコミカライズ版では黒覆面で登場します。
実は、ひおあきら先生版や聖悠紀先生版でもキャプテンハーロックが登場します。聖悠紀先生版はアニメの初期設定に近い感じですが、顔の傷が多くワイルドな感じです(ネタバレにならないようにモザイクをかけました)。ひおあきら先生版は家に単行本が無いためアップできず申し訳ありません。
聖悠紀先生は「宇宙戦艦ヤマト」のコミカライズを描かれていたのと同時期に「超人ロック コズミックゲーム」を描かれていました。そのため森雪とエーリカが似た感じになっています。
聖悠紀先生版では女性キャラクターは森雪しか登場しません。スターシャが出ていたらどうなっていたのか、とても興味あります。
「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版は、50年間単行本化されなかった歴史的書物です。
50年ファンが待ち望んだ奇跡の単行本です。
これはもう手にいれるしかありません。
「宇宙戦艦ヤマト」聖悠紀先生版は紙単行本のみです。
「EVANGELION STORE」やamazonで購入できます。
僕の本棚には、僕の趣味で保管しておいた漫画が、期せずして「お宝」になってしまったものが数多くあります。
「お宝」といってもプレミアが付いて値段が高騰しているものという意味ではありません。
存在そのものが希少となり、現在、紙媒体として入手困難なものを僕の中で「お宝」と定義しています。
「お宝」とまではいかないものの、一風変わったレア度の高いものは、「漫画紹介」のカテゴリに入れています。
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