*一番上の画像は僕所蔵の本です。「ラジヲマン」(あさりよしとお・著/朝日ソノラマ)より引用
胸に炉心、背中に放熱塔を背負う男、ラジヲマン!彼は原子力の素晴らしさを世界に普及させるために、連れのリトル・ボーイと共に日夜闘い続ける!そのためには一次冷却水漏れなど気にしない!(苦笑)
「まんがサイエンス」「宇宙家族カールビンソン」の著者、あさりよしとお先生のブラックユーモア怪作。小説雑誌「グリフォン」(朝日ソノラマ・刊)92年秋号~94春号にて連載された、原子力&放射能ネタ満載の、とにかくヤバイ漫画です。
(あらすじ)
科学者・桜木武士。彼の正体は、原子力の平和利用を信条とするヒーロー「ラジヲマン」だった。
彼はあらゆる日常生活グッズに原子力を取り入れ、原子力の素晴らしさを世界に普及させるために放射能を巻き散らかしながらも原子力の平和利用の研究にいそしんでいた。
そんな彼の理想を阻む敵が現れれば、彼はラジヲマンに変身し連れのリトル・ボーイ(助手の内田くん)と共に、原子力の平和利用のために戦うのだ!。
・第1話「原子力の男」
大臣の娘を誘拐したソーラー仮面、彼の要求は「地球環境保全のために原発建設の凍結と操業の停止をすること」。
「原子力の平和利用」を信条とするラジヲマンは、独自開発した原子力アイテムを駆使し、放射能を撒き散らしながらソーラー仮面を追い詰めていく。
・番外編「ラジヲマンの秘密」
ラジヲマンの正体、それは科学者・桜木武士である。
大富豪でもある彼は屋敷で日夜、原子力グッズの開発を続けている。
発明品は、原子蚊取り、原子ガマなどがある。
その一つ、コバルトストロンチウム温泉は、湯に浸かればどんな疲労した肉体も一発(以下略)
・第2話「原子力犬むつ」
科学者・桜木武士はその昔、「むつ」という名の犬を飼っていた。
しかし「むつ」は交通事故で重傷を負う。桜木は直接執刀し、原子の力で「むつ」を蘇らせた。
小型原子炉を持つ「むつ」が通った後は花が咲き乱れ、幸運の四つ葉のクローバーが増えていった。
・第3話「何かありそうなトムスク7」
某月某日の夜、千葉県の銚子沖から北の国の特殊部隊が上陸してきた。部隊の名は「トムスク7」
原子力潜水艦でやって来た彼らの上陸を阻止するため、ソーラー仮面が立ちはだかるが、またしてもそこにラジヲマンが現れた。
・第4話「謎の国から来た挑戦」
桜木武士の屋敷に、原子力研究を視察したいという外国人が訪れた。
視察途中、警察からの連絡が入る。「悪のラジヲマン」が原子力研究施設から資料を盗んでいくと。
そしてその前後には、「遊び人の金さん」という正体不明の外国人が現れるという。
・第5話「懲りずに再び来た挑戦」
とある謎の国から日本に上陸した工作員たち。そのリーダーは「悪のラジヲマン2号」。
日本の原子力研究を得るために潜入した彼らの前に、ラジヲマンが立ちはだかる。
ラジヲマンは工作員たちに原子力犬「むつ」をけしかけた。
・第6話「頼れる仲間…!」
県立倒壊村小学校に現れた、政府機関派遣のマスコットキャラクター「プルートー君」。
彼は小学生たちに原子力の安全性を説いていた。その教えは極端で「飲んでも平気」と説く始末。
地球環境を守る男ソーラー仮面は、そんなプルートー君に真っ向から対抗する。
そこにラジヲマンが現れプルートー君と共に原子力の素晴らしさを説くが、ラジヲマンの説はプルートー君もドン引く凄まじさだった。
各話の簡単な説明からして相当ヤバイ!(苦笑)
ここまでが「グリフォン」に掲載された分で、「グリフォン」は「ラジヲマン」第6話が掲載された94年春号で休刊となりました。
以後、特別読切「ミライノヒカリ」が月刊COMICリュウ2007年11月号に掲載されましたが、僕は知らなかったので未所有です。
「ラジヲマン」では原子力問題だけでなく、北朝鮮の拉致問題もネタとして取り扱っています。
しかし「ラジヲマン」が発表されたのは1992年~1994年、当時は拉致問題はまだ大きくクローズアップされず、北朝鮮の関与も憶測の域であり、「ラジヲマン」本編の中でも断定せずに「謎の国家」という体で描かれています。
また東日本大震災よりも20年ほど前の発表であり、阪神大震災よりも前でもあります。その当時で原発への懸念をこれだけ描いた、あさりよしとお先生の見識は凄いです。
ただ東日本大震災による福島第一原発事故で「ラジヲマン」で描かれた以上の災害が出てしまっているのでちょっと洒落になりません。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がありますが、現実で漫画以上の事実が起きてしまうと、漫画家は想像力を働かせることが難しくなります。
僕が「グリフォン」を購入したのは、星野之宣先生の「スターダスト・メモリー」が掲載されていたのを見たからなのですが、同時に「ラジヲマン」も掲載されていたので驚きました。その後は「ラジヲマン」目当てでグリフォンを購入するようになりました。おかげ様であさりよしとお先生の怪作を第1話~第6話&番外編まで所有することが出来たのです。
それが「グリフォン」創刊号~最終号までコンプ出来たことにもなりました。
「ラジヲマン」は単行本化の話がありましたが、2011年、東日本大震災で福島第一原発事故があり、ネタがネタだけにお蔵入りになってしまいました。
単行本化されない現在となっては、まさに「お宝漫画」の状態です。
僕が他作品目当てで手に入れた「グリフォン」が「ラジヲマン」を読める(COMICリュウ以外で)唯一の本になってしまった訳です。
「ラジヲマン」は装備のデザインがカッコイイんですよ。ゴーグル、ミニ炉心、銃、あさりよしとお先生のデザインは、少ない線でフォルムが洗練されているんですよね。
「エヴァンゲリオン」の使徒サキエルのデザインも、あさりよしとお先生なので、そのデザインセンスのカッコ良さは皆納得してもらえると思います。
「ラジヲマン」デザインのカッコ良さを多くの人に見てほしいのですが、単行本が出ないのが本当に残念です。
追記:
「ラジヲマン」未単行本化の件について、あさりよしとお先生が2020年2月19日にツイートされていました。
あさりよしとお先生のツイート
どうやら「ラジヲマン」全話の原稿を集めても単行本にするだけのページ数が足らないようです。
僕も手元の「グリフォン」を読んでページ数を数えてみました。
第1話→24ページ
番外編→8ページ
第2話→16ページ
第3話→16ページ
第4話→16ページ
第5話→16ページ
第6話→8ページ
「グリフォン」掲載分だけで124ページですね。
「ミライノヒカリ」については未所有なのでページ数の確認はできませんが、それほど多くはないと思われますので確かに単行本化するにはページ数が少ないようです。
単行本分原稿が揃っても、果たして単行本は出るのか?内容的には微妙だと思いますが。
でも僕も単行本化を楽しみにしております。
作画配信内での「ラジヲマン」の紹介
「お宝漫画」については、僕が以前からおこなっているニコ生作画配信(現在、都合により中断)でも紹介しています。
伊原達矢の「お絵描き中(継)」
2時間の配信の中、ラスト30分から紹介しています。
過去の配信動画はYouTubeにもアップしています。
Tatsuya Ihara Live Drawing
2時間の配信を4分割してアップしているので、動画「その4」が「お宝漫画」紹介になっています。
「ラジヲマン」は単行本になっていないので、あさりよしとお先生の他の漫画のリンクを貼っておきます。
「まんがサイエンス」や「宇宙家族カールビンソン」は名作です。
・紙単行本(amazonリンク)
・Kindle(amazonリンク)
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