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【漫画紹介】「さくらのはなみち」希土塚一示・作、西山田・画【おすすめ】

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一番上の画像は僕所蔵の本です。「さくらのはなみち」(希土塚一示・作、西山田・画/株式会社ジーオーティー)より引用

「デブは嫌い」
デブは横綱になれない、それが元・女子相撲世界チャンピオン、常盤桜子の理論です。
それまで相撲の常識とされていたものに一石を投じる彼女の理論は革新的なものが多く、それらは相撲で勝つための、具体的で実践的なものでした。

彼女は女人禁制の大相撲の世界で、女であるがゆえに自分が果たせなかった「横綱」になる夢を、力士を育成することで果たそうとします。

(あらすじ)

主人公・常盤桜子は相撲部屋のひとり娘。幼い頃から自宅の相撲部屋で稽古を見ていて力士に憧れていた。
その後、彼女は女子相撲の世界チャンピオンになった。

しかし大相撲は女人禁制の世界。常盤桜子がどんなに憧れようと横綱になる道は無かった。
彼女は自分の経験や理論を駆使し、自分の代わりに横綱になれる力士を育成する道を選んだ。

そして常盤桜子は彼女の目にかなった「逸材」を発見。自分の理論を実証するためにスカウトをした。

「さくらのはなみち」は相撲漫画ですが、それまでのスポ根漫画とは一線を画します。
原作の希土塚一示さんは学生相撲出身であるためスポーツ理論に詳しく、それが「さくらのはなみち」にリアリティを与えています。

しかもその理論が相撲マニアだけではなく、相撲を知らない人にとっても面白く読めるように解説されています。
そして西山田さんの絵が取り組みの迫力と説得力を出しています。

また希土塚一示さんは伝統的な相撲の稽古を否定している訳ではなく、その中でも理にかなっている稽古については理論的な解説をして取り入れています。
要は伝統だからといって盲目的に従い思考停止状態で稽古をするのではなく、強くなることに直結した合理的トレーニングを取り入れることが大事ということです。

希土塚一示さんの理論は独創的なものが多く、その中でキャッチーなものが「デブは横綱になれない」です。
多くの人は「力士は体格が大きい方が有利」と思いがちなので、希土塚一示さんの理論を読むと目から鱗が落ちる思いになります。

こう書いていると理屈っぽい「蘊蓄漫画」のようになりがちですが、強くなる目的が「自らが輝ける道」を歩むためであることがドラマになっています。

主人公の常盤桜子は「女であるがゆえに相撲の道を閉ざされた者」です。また常盤桜子がスカウトした藤原も「器用貧乏であるがゆえ本気に取り組める道が無く惑う者」であり、部屋の力士・西代は「相撲以外に自分の居場所が無い者」です。

それぞれのキャラクターが自分にとっての輝ける「花道」を歩むために研鑽することが「さくらのはなみち」の見どころになっています。

「さくらのはなみち」の作画担当、西山田さんは「ネーム大賞」(漫画家・佐藤秀峰先生のサイト、マンガonウェブ主催)に参加しており、僕は第7回の参加で一緒になりました。
その縁もあって応援していました。

今回の漫画紹介はその縁があってのものです。ステルスマーケットではなく、直接的な知人応援です。

「さくらのはなみち」にはプロトタイプの作品があります。
「女将の綱取り」といって、2016年の第8回ネーム大賞にて第5位に入りました。

第8回ネーム大賞結果発表
リンク先の画像クリックでネームが読めます(現在ページは削除されています)。

第8回ネーム大賞最終審査結果発表・動画配信(24:48より)

「さくらのはなみち」の単行本の中に原作者の希土塚一示さんのコラムがあります。
それによると希土塚さんは作画の西山さんと組んで出版社にネーム持ちこみをしていたそうです。
作品のクオリティは高いものの、返って来る反応は「相撲漫画なんて誰が読むの?」(コラムより引用)というものだったそうです。

それでもお二人の懸命な努力により、ウェブでの連載を獲得しました。
しかしそのウェブサイトが漫画事業を撤退したために連載を終了することになり、中途半端な終わり方になってしまいました。

その後、「COMICめづ」に移籍、連載再開と単行本発売となりました。

しかしウェブマンガの特性か相撲漫画は読者を選ぶのか、好きな人にとっては評価は高いものの読者人気が集まらないのか、打ち切り宣告が出てしまいました。

打ち切り回避のために「WEBマンガ総選挙2019」にエントリーしました。読者からの投票によって人気作品が決まるというもので、ここで好成績を上げれば「読者からの支持がある」ということで連載存続の可能性があるということでした。

希土塚さんと西山さんの営業努力もあり、「WEBマンガ総選挙2019」では第8位の成績をおさめました。

しかし連載存続にはならず「さくらのはなみち」は、これからという展開で連載終了になってしまいました。

「さくらのはなみち」は漫画として面白く完成度も高いので、相撲漫画というだけで食わず嫌いで読まれないのがもったいないです。
希土塚さんも西山さんも連載再開を諦めていません。僕も続きが読みたいので応援します。

作画配信内での「さくらのはなみち」の紹介(12:20より)

「漫画紹介」については、僕が以前からおこなっているニコ生作画配信(現在は都合により中断)でも紹介しています。
伊原達矢の「お絵描き中(継)」

過去の配信動画はYouTubeにもアップしています。
Tatsuya Ihara Live Drawing
2時間の配信を4分割してアップしているので、動画「その4」が「お宝漫画」紹介になっていることが多いです。

「さくらのはなみち」は、紙単行本と電子書籍共に購入可能です。

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僕の本棚には、僕の趣味で保管しておいた漫画が、期せずして「お宝」になってしまったものが数多くあります。
「お宝」といってもプレミアが付いて値段が高騰しているものという意味ではありません。
存在そのものが希少となり、現在、紙媒体として入手困難なものを僕の中で「お宝」と定義しています。
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