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【お宝漫画】「ウオッカ・タイム」片山まさゆき・著【おすすめ】

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*一番上の画像は僕所蔵の本です。「ウオッカ・タイム」(片山まさゆき・著/講談社)より引用

2022年現在、世間ではロシア・ウクライナ情勢で賑わっていますが、今から37年前の1985年にロシア情勢を描いたトンデモないギャグ漫画が存在しました。
その名も「ウオッカ・タイム」!作者は麻雀ギャグ漫画の第一人者であり、著作「ぎゃんぶらぁ自己中心派」の片山まさゆき先生です。
僕は片山まさゆき先生の麻雀漫画しか知らなかったので、コレを描かれた時は本当に驚きました。片山まさゆき先生にしても多分、麻雀漫画以外で初めて描かれた作品かもしれません。

当時はまだ東西冷戦時代であり、ソビエト連邦(現在のロシア)は崩壊前とはいえ超大国でした。その超大国をネタにして、しかも主人公はコンスタンティン・チェルネンコ書記長(!)。ソビエト連邦(以後「ソ連」)の最高指導者をギャグ漫画の主人公にしているので、ヘタしたら粛清モノの漫画です。
実際、単行本冒頭のカラー漫画では、片山まさゆき先生はKGB(ソ連の国家保安委員会)に狙われています(笑)

(あらすじ)

1985年、ソ連の最高指導者コンスタンティン・チェルネンコ(以後「チェルネンコ」)は、影が薄く国民の人気が無いことを懸念していた。
チェルネンコはわざわざ酒場に出向き、客が多い中でアメリカのレーガン大統領と電話会談をするものの、酒場の客は誰一人チェルネンコの存在に気付かない。
腹が立ったチェルネンコは酒場の客全員をシベリア送りにした。

チェルネンコが国民に人気が無いことを懸念した部下のギャルズスキーは、チェルネンコにスターリンの人気獲得の逸話を伝えた。

モスクワの小学校、教師が生徒に、神様にキャンディーが貰えるように祈ってみましょうと言った。しかし当然ながらキャンディーはその場では貰えない。
先生は生徒に、神様は存在しないからだと言った。
そして教室にあるスターリンの肖像にむかい、キャンディーを貰えるように祈ろうと生徒たちに言った。
生徒たちがスターリンに祈ると、教室に多くのキャンディーが配られた。

チェルネンコも同じ方法を試そうとするが…(画像へ続く)

子供たちからコーラをねだられたチェルネンコ書記長、果たして運命やいかに(?)。

ロシア革命以降のソ連最高指導者の地位に就く者は、ある一定の法則が存在します。

不思議なことに、頭髪が「ハゲ」「フサ」「ハゲ」「フサ」というように髪型が交互になっています。これを「ハゲ・フサ理論」といいます。
これは片山まさゆき先生の発案ではなく、元々ソ連にあったジョークのようです。
この「ハゲ・フサ理論」でいうと、チェルネンコは「フサ」なので、次の書記長は「ハゲ」になります。
次期書記長候補の中で「ハゲ」の者は、ミハイル・ゴルバチョフ(以後「ゴルバチョフ」)のみです。

当時この回が連載されていた時期は、まだチェルネンコは存命中でした。そしてチェルネンコが亡くなった後に、本当にゴルバチョフが書記長に就任しました。「ハゲ・フサ理論」恐るべしです。
ゴルバチョフの後も、
ボリス・エリツィン(フサ)

ウラジミール・プーチン(ハゲ)

ドミトリー・メドベージェフ(短髪。ハゲではない)

ウラジミール・プーチン(ハゲ)
なので、ソ連崩壊後も法則は続くので「ハゲ・フサ理論」おそロシアです。

そしてチェルネンコ死亡後、書記長はゴルバチョフになり、「ウオッカ・タイム」でも主人公交代になりました。
ゴルバチョフは初登場時は普通のおじさん顔でしたが、主役交代になってからは「ペコちゃん」「カエル」のようなギャグマンガ顔になります。

チェルネンコ編ではソ連の国内ネタが多かったのが、ゴルバチョフ編では外交ネタが多くなっていき、どんどん内容がヤバくなっています。上の画像は「アフガニスタン進攻」を元にしたネタです。

登場人物もテキトー過ぎるギャグマンガキャラになっていきます。上の画像はブッシュ副大統領です。当時はまだ副大統領でしたが、後にアメリカ大統領になり湾岸戦争と関わります。ブッシュは親子2代で大統領になりますが、こちらはパパ・ブッシュのほうです。
ブッシュが腰みの一丁なのは「ブッシュマン」のパロディなのですが、さすがにこのネタはリアルタイムで読んだ人しか分かりにくいでしょう。

さらに描写がテキトーなのはワインバーガー国防長官(当時)でしょう。頭の上にワインとハンバーガーを乗せているだけで「ワインバーガー」なので、テキトーなのにも程があります(笑)。

第1話の扉絵は、タイトルがロシア語の「キリル文字」風になっています。もう、やりたい放題です。
いくら当時ソ連が鎖国状態だったとはいえ、東側陣営と最高指導者をこれほどまでにおちょくった漫画は類を見ません。早過ぎたクールジャパン、ヘタすりゃシベリア送りになりかねないほどクール過ぎる漫画です。
今はロシアのウケライナ進攻が旬の話題ではありますが、プーチンを主人公にしたロシアネタのギャグマンガを描いてみろといわれても絶対に描けないですね。

「ウオッカ・タイム」は単行本は絶版ですが、2017年に電子書籍が出ていますね。
紙単行本も、まだなんとかamazonで手に入ります。

・紙単行本(amazonリンク)

「ウオッカ・タイム(1)」

・Kindle(amazonリンク)

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僕の本棚には、僕の趣味で保管しておいた漫画が、期せずして「お宝」になってしまったものが数多くあります。
「お宝」といってもプレミアが付いて値段が高騰しているものという意味ではありません。
存在そのものが希少となり、現在、紙媒体として入手困難なものを僕の中で「お宝」と定義しています。
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