*一番上の画像は僕所有の本です。「古代戦士ハニワット」「月読伝説」(武富健治・著/双葉社、胡蝶社)より引用
「古代戦士ハニワット」は漫画アクションで連載中の漫画で、作者は、テレビドラマにもなった「鈴木先生」の武富健治先生です。
(あらすじ)
現代の日本、長野県善光寺にて体長約2メートルの土偶が出現した。土偶は古来より「蚩尤(しゆう)」と呼ばれていた。
「蚩尤」は歩き出し、通行人を踏みつぶし、行く手を阻むものを破壊した。
機動隊が取り囲むものの成す術が無い。
そこに古式ゆかしい装束姿の団体が、謎の土偶「蚩尤(しゆう)」を鎮めるために現れた。彼らは弓を鳴らし、巫女は舞いを始める。
「蚩尤」に立ち向かうのは、土人形「埴輪土(ハニワド)」。「埴輪徒(ハニワト)」と呼ばれる行者の魂を移して動きをコントロールをする。
今、「埴輪土」が「蚩尤」を収めるための「特殊祭祀」が始まろうとしていた。
仮面ライダーのような特撮ヒーロー物の系譜の漫画です。
特撮怪人のような「蚩尤」、それと対峙する「埴輪土」、怪人対変身ヒーローのような構図です。
善光寺に出現した「蚩尤」、その目的も不明なまま善光寺を出て街なかを歩み続けます。機動隊でもその歩みを止めることはできません。
そこに現れた戸隠神社の宮司たち、そして巫女たちの舞が始まります。
そして神輿の中から、布留(ふる)の仮具土(かぐつち)の「埴輪土」が現れます。
仮具土の「埴輪土」は「埴輪徒」の魂がシンクロして遠隔操作するアバターのようなものです。
そして巫女の舞は「埴輪土」とのシンクロ率を高めエネルギーチャージを行います。
しかし仮具土の「埴輪土」は「埴輪徒」の魂がシンクロしているので、「埴輪土」がダメージを負うと「埴輪徒」にも被害が及びます。
「仮具土の埴輪土」が「蚩尤」に破壊され、「埴輪徒」である仁も、とんでもない状態になっています。
「蚩尤」は歩みを続け、街を破壊していきます。
仁が敗れたことを受け、「真具土(まぐつち)の埴輪土」が「蚩尤」と対峙することになります。
「仮具土の埴輪土」が「埴輪徒」の魂とシンクロして遠隔操作するのに対し、「真具土の埴輪土」は「埴輪徒」本人が直接「埴輪土」に変身します。
「真具土の埴輪土」は古式に則り蚩尤を収めていきます。
「真具土の埴輪土」が「蚩尤」を収めるまで見応えのある格闘が続きますが、この善光寺での蚩尤納めが終わるのは第31話です。単行本4巻になります。
つまり1つの格闘に対しそれの決着になるまで単行本4冊分を費やします。
単行本で一気に読む場合はその格闘を充分に楽しめますが、「古代戦士ハニワット」を連載している「漫画アクション」は隔週誌です。雑誌で連載を読む場合は第31話まで読むのに約1年4か月かかります。
現代の漫画ではそれだけスローペースな連載とも言えるでしょう。読者の興味を持続させるには難しい連載ペースだと思われます。
そのためか単行本が売れず、編集部から「打ち切り」を宣告されてしまいます。この時点での次回発売の第7巻の売上いかんで「打ち切り」が決定するということでした。
その時の様子が武富健治先生のツイートで語られています。
漫画の内容については評判は高いのですが、
・隔週連載でありながらも物語の展開がスローペース
・絵柄により読者の好みが分かれる
・掲載誌を手に取る機会が少ない(少なくとも僕の近所のコンビニでは「漫画アクション」は1冊も置いていません)
などの理由のため「限られた好きな人が読む漫画」や「そもそもこの漫画の存在が知られていない」になってしまっています。
武富健治先生は小学5年生の時に「古代戦士ハニワット」の原型である漫画を描いていました。
その後、中学生、高校性、大学生になっても描いています(画像は「古代戦士ハニワット・双葉社」単行本カバーを外した表紙と、「古代戦士ハニワット 月読伝説・胡蝶社」より引用)。
漫画アクションで連載されている「古代戦士ハニワット」は作者のセルフリメイクであり、武富健治先生にとっても思入れが強い作品であります。
「古代戦士ハニワット 月読伝説」は武富健治先生が大学生の時に描かれた短編で、先生による同人誌が出ています。
「月読伝説」の他に、各年代で描かれた短編の特集「古代戦士ハニワット大百科」が収録されています。
この本は原画展の画廊で購入しました。
「古代戦士ハニワット」の打ち切り宣告を知ったファンたちは、連載継続を訴え数々のイベントが起ち上がりました。
特に熱狂的だったのが、新宿紀伊國屋書店の書店員さんが熱狂的なハニワットファンであることから、店内に「古代戦士ハニワットコーナー」を設置しました。
これは単行本7巻が発売された時の「古代戦士ハニワット」コーナーです。武富健治先生本人による直筆の大型ポップと色紙がありました(撮影&SNS投稿許可済み)。
ハッシュタグ「#ドグーン祭り」で拡散して、SNSでの盛り上がりを考慮されています。
連載継続に向けての熱意が感じられます。
書店員さん製作の「ハニワット新聞」も無料配布していました。
新宿紀伊國屋書店限定の封入ペーパーです。武富健治先生の手描き(コピー)なのが貴重です。
「古代戦士ハニワット」コーナーを設置された書店員さんとお話しすることができました。お互いにハニワットが好きなので話が盛り上がりました。
書店員さんによると、「古代戦士ハニワット」は読んでもらえれば絶対に面白いので、まず多くの人に手に取って読んでもらう機会を作る必要があって、そのためにイベント的なことで工夫をしているとのことでした。
「#ドグーン祭り」も宣伝の一環ですが、実はこれは漫画の劇中にも登場しており、「蚩尤」を目撃した一般人が「蚩尤」のことを「土偶(ドグーン)」と呼び、SNSでの拡散でトレンド入りしているシーンに基づいています。
そして話は、オタク評論家の岡田斗司夫氏のツイートの話になりました。岡田斗司夫氏もハニワットのファンであり近々氏のゼミで取り上げる予定だったらしいのですが、連載打ち切りのニュースを見て残念がっていました。
僕も書店員さんも岡田斗司夫氏のツイートは見ていたので、これだけの著名人もファンなので連載を継続してほしいですねと話していました。
その翌日だったか2日後ぐらいに「岡田斗司夫ゼミ」のYouTube配信を観ていたら、新宿紀伊國屋書店の店員さんが「古代戦士ハニワットを岡田斗司夫ゼミで取り上げてほしい」と投書をしていました。
確かに前日に「岡田斗司夫ゼミ」の話をしていましたが、驚きです。「岡田斗司夫ゼミ」については書店員さんも知っていたので僕発案では無いのですが、僕と話をしたことで書店員さんが岡田斗司夫氏に直訴した可能性はあるかもしれません(^^;)。
漫画の単行本は発売日から一週間の売上で、次巻の発売や重版の有無が決定します。これを「初速」といいますが、その結果で「古代戦士ハニワット」の打ち切りが決まってしまいます。
そのため「岡田斗司夫ゼミ」ですぐに「古代戦士ハニワット」のゼミを行うことが決定しました。
岡田斗司夫氏は「オタキング」と呼ばれるほどアニメや漫画に精通しており、その論理的な解説でゼミで取り上げた作品を多くの視聴者に興味を持たせます。
実際、岡田斗司夫氏が「古代戦士ハニワット」をゼミで取り上げることが決まってから単行本の売上が上がりました。品切れの書店も出て来るほどです。
そして「古代戦士ハニワット」の連載継続が正式に決定しました。
連載打ち切りから首の皮一枚残して奇跡的な復活です。岡田斗司夫氏の後押しも大きいですが、それをきっかけとして多くの人の目に触れることで作品の面白さを理解してもらえる人が増えてきたのも多いと思います。まさか単行本が売り切れる書店が多く出て来るまでとは思いませんでしたが。
ともかく連載継続となって良かったです。現在最新刊の第9巻が発売されましたが、連載打ち切りになったらこの第9巻の内容が丸々カットになって物語が終了するところでした。
僕と武富健治先生とは不思議な縁があります。
武富健治先生は1991年に小学館新人コミック大賞に入っており、そこから短編をいくつか発表されており僕はそれを読んでいました。
僕は2年後の1993年に小学館新人コミック大賞に入りました。だから世代が近いといえます(後で武富健治先生は僕より4歳下だと聞きました)。
そして2015年に僕は拙作「トキ」を、佐藤秀峰先生が主催する「漫画onWeb」の「第7回ネーム大賞」に投稿しました。
武富健治先生はその中の審査員の一人でした。ネーム大賞では投稿作品全部に審査員講評が付きます。武富健治先生は「トキ」に高評価を出してくれました。
そのおかげもあり「トキ」は第7回ネーム大賞で準入選を受賞しました。僕の恩人でもあります。
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目次
トキ(ネーム版)
この作品は、漫画家・佐藤秀峰先生の「マンガonウェブ」主催の「第7回ネーム大賞」で準入選をいただいたものです。 第7回ネーム大賞結果発表 注:現在は閲覧できません 受賞の副賞として「クラウドファンディ ...
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トキ(完成原稿版)
この作品は、漫画家・佐藤秀峰先生の「マンガonウェブ」主催の「第7回ネーム大賞」で準入選をいただいた「ネーム版」を完成原稿にしたものです。 第7回ネーム大賞結果発表 注:現在は閲覧できません 受賞の副 ...
続きを見る
さらに僕の友人である、第6回ネーム大賞受賞者の左紳之介さんは、武富健治先生と同じ大学の漫画研究部の出身で、武富健治先生の先輩だそうです。
左紳之介さんの「エルソナシンドローム」↓
僕が武富健治先生と実際にお会いしたのは「古代戦士ハニワット」の原画展に行った時です。この時は左紳之介さんと一緒に行きました。
東京ドームの近くにある「マンガナイトBOOKS」(現在は閉鎖。豊島区南長崎に移動)という画廊で原画展が行われました。
武富健治先生の原稿は手描きなので、こうして原画展が出来るわけです。
アナログ原稿は良いですね。
原画展に行った時の様子は、僕の作画配信の中でも語っています。
作画配信内での「古代戦士ハニワット」の紹介(08:35から)
「漫画紹介」については、僕が以前からおこなっているニコ生作画配信(現在都合により中断)でも紹介している回があります。
伊原達矢の「お絵描き中(継)」
2時間の配信の中、ラスト30分から紹介しています。
過去の配信動画はYouTubeにもアップしています。
Tatsuya Ihara Live Drawing
2時間の配信を4分割してアップしているので、動画「その4」が「漫画紹介」になっていることが多いです。
2022年6月29日、豊島区南長崎にある「マンガピット」にて「古代戦士ハニワット9巻を発売日に語り合う会」が開催されました。
僕も参加しました。会のレポートはこちらに用意しました↓
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【漫画紹介】マンガナイトBOOKS「古代戦士ハニワット9巻を発売日に語り合う会」レポート【おすすめ】
2022年6月28日、豊島区南長崎にある「マンガピット」にて「古代戦士ハニワット9巻を発売日に語り合う会」が開催されました。 「マンガピット」は、以前に「古代戦士ハニワット」原画展を開催した画廊「マン ...
続きを見る
「古代戦士ハニワット」は第9巻まで発売されています(*2022年6月現在)。
・紙単行本
・Kindle
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僕の本棚には、僕の趣味で保管しておいた漫画が、期せずして「お宝」になってしまったものが数多くあります。
「お宝」といってもプレミアが付いて値段が高騰しているものという意味ではありません。
存在そのものが希少となり、現在、紙媒体として入手困難なものを僕の中で「お宝」と定義しています。
「お宝」とまではいかないものの、一風変わったレア度の高いものは、「漫画紹介」のカテゴリに入れています。
このブログではそんな「お宝漫画」などを紹介していきます。
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【漫画紹介】「大友克洋全集」(その1)大友克洋・著【おすすめ】
*一番上の画像は僕所蔵の本です。「大友克洋全集」(大友克洋・著/講談社)より引用。 「大友克洋全集」とは、漫画家・大友克洋先生の仕事を全部収録する一大プロジェクトです。 これは紙の単行本だけで電子書籍 ...
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【お宝漫画】「ウオッカ・タイム」片山まさゆき・著【おすすめ】
*一番上の画像は僕所蔵の本です。「ウオッカ・タイム」(片山まさゆき・著/講談社)より引用 2022年現在、世間ではロシア・ウクライナ情勢で賑わっていますが、今から37年前の1985年にロシア情勢を描い ...
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