一番上の画像は僕所蔵の本です。「仮面ライダーをつくった男たち」(小田克己・取材&脚本、村枝賢一・画/講談社)より引用
*この記事は映画「シン・仮面ライダー」についてのネタバレはありません。
庵野秀明監督の、仮面ライダー50周年企画「シン・仮面ライダー」が3月17日18時より全国最速公開、3月18日に全国公開されます。
子供の頃に昭和ライダーの洗礼を受けた現代の50代~60代は、「ライダースーツやマスクの質感に拘る」と前回の「仮面ライダーSPIRITS」の記事でも書きました↓
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目次
【漫画紹介】「仮面ライダーSPIRITS」石ノ森章太郎・原案、村枝賢一・画【おすすめ】
一番上の画像は僕所蔵の本です。「仮面ライダーSPIRITS」(石ノ森章太郎・原案、村枝賢一・画/講談社)より引用 *この記事は映画「シン・仮面ライダー」についてのネタバレはありません。 「新世紀エヴァ ...
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今回の記事「仮面ライダーをつくった男たち」ではさらにその質感が際立っています。脚本は小田克己氏ですが、それを受けて村枝賢一先生の熱い筆致が唸ります。
「仮面ライダーをつくった男たち」は仮面ライダー制作秘話であり、制作に携わった人たちに焦点を当てています。
いわゆる「裏方」の人たちですが、表に出ない人たちにも「仮面ライダー」によってそれぞれの熱いドラマがあることが興味深いです。
まず登場するのが、プロデューサー・平山亨氏。
昭和の東映ヒーロー特撮を観た人は良く見た名前だと思います。オープニングに必ず登場する名前です。
自分が携わった番組に感情移入して涙を流す「泣き虫プロデューサー・平山亨」、彼が所属する東映は昭和40年代に、映画産業の斜陽、組合問題などで経営危機を迎えていました。
そんな中で起ち上った「オートバイに乗ったヒーロー番組」の企画も低予算で賄わなければなりません。平山亨氏は番組制作のために東奔西走しました。
ヒーロー特撮物の制作で紆余曲折を経て、原作担当の石森(当時)章太郎先生よりヒーローの決定稿が出ます。
初期に出た髑髏のマスク(スカルマン)のイメージを活かして、昆虫モチーフにした決定稿に平山亨氏は感激し、関係者各所に猛烈にプレゼンをおこないます。
平山亨氏は少年時代、予科練に入っていました。東京大空襲で墨田川に多くの死体が上がった時に、その片付けをしています。
力も無い少年は誰も助けることが出来ず、またそんな状況から救ってくれる「誰か」もいませんでした。そんな世界を救ってくれる「誰か」を待ち望み、そんな「誰か」が活躍する番組を自分が作るのだと自覚します。
平山亨氏の想いが実り、「仮面ライダー」第1話がクランクインします。これが半世紀後の「シン・仮面ライダー」に続く伝説の幕開けです。
しかし撮影中に主役の藤岡弘(当時は「、」無し)がバイクで転倒し左足大腿部複雑骨折を負います。全治6か月の入院と診断され、今後の撮影について話し合いがおこなわれました。
その中では藤岡弘を降板させ、ショッカーに捕まり再手術で整形させられたとして別の役者で番組を継続させる案も出ました。
しかし平山亨氏は藤岡弘を切ることに猛烈に反対します。「英雄は絶対に死にはしないんだ!」として藤岡弘の再起を信じます。
結果、藤岡弘の治療中は、佐々木剛が「一文字隼人」役になり、2号ライダーとして番組を継続します。
そして第40話で1号ライダーが復活再登場して、「ダブルライダー」として高視聴率を得ることになりました。
こうして平山亨氏は東映の昭和特撮ヒーロー番組のほとんどをプロデュースしていきます。昭和の時代には、令和の今からは想像もつかないくらい特撮ヒーロー番組の作品数が多かったです。この特撮ヒーロー番組を観て育った子供たちが、今、特撮ヒーロー番組を支える礎になっています。これは平山亨氏の功績です。
次の登場は「大野剣友会」です。
「大野剣友会」とは殺陣師の集団であり、時代劇映画での殺陣を担当していました。
しかし昭和40年代、映画での時代劇は減り、時代は映画からテレビへと移っていきました。「大野剣友会」は時代劇の殺陣だけでなく、テレビドラマ「柔道一直線」のアクションなども担当するようになりました。
そして運命の番組と出会います。
特撮ヒーロー番組「仮面ライダー」。「大野剣友会」は主にトランポリンを利用したライダーアクションやショッカー怪人の殺陣を担当します。
しかしこの仕事はマスクや着ぐるみを着ることにより、役者の顔を隠して演技をしなければなりません。役者としての葛藤もあります。
この主役としてのマスクの質感が良いんですよ。リアルというよりも、そのマスクが持つ色気や風格みたいなものが漂っているのが最高なんですよ。
「大野剣友会」の活躍は特撮の新しい可能性を生み出します。
撮影済みの怪人の着ぐるみを利用して「仮面ライダー」のライブをおこなう企画が起ち上がりました。今でいう「ヒーローショー」のはしりです。
ある意味「本物」が演じるので、そりゃあ本格的なライブです。子供たちも熱狂します。
そして子供たちのリアルな反応を見ながら殺陣の技を極めていくので、それは番組本編にも反映されていきます。
役者としての顔を奪われた殺陣師が、特撮番組の「立役者」になる熱い展開です。
「仮面ライダー」については制作時のトラブルにて、神が降りて来たような奇跡的な展開が起きます。
藤岡弘の骨折により番組存続の危機になりましたが、2号ライダーの登場、1号ライダー復帰による「ダブルライダー」で高視聴率を得ることができました。
一文字隼人役の佐々木剛は当時、二輪免許を持っていなかったため1号ライダーのようにバイク走行でベルトに風を受けての変身が出来なかったため、苦肉の策として「変身ポーズ」による変身が生まれたそうです。この「変身ポーズ」を子供たちが真似をして「ライダーごっこ」が流行りましたし、以後のシリーズの仮面ライダーの変身の基礎にもなりました。
そして使用済みの怪人の着ぐるみを利用した「仮面ライダーショー」、撮影時のスナップ等を利用して、おまけカードを封入した「仮面ライダースナック」など、子供たちの人気は最高潮に達し社会現象にもなりました。
作画配信内での「仮面ライダーをつくった男たち」の紹介(14:23から)
「漫画紹介」については、僕が以前からおこなっているニコ生作画配信(現在都合により中断)でも紹介している回があります。
伊原達矢の「お絵描き中(継)」
2時間の配信の中、ラスト30分から紹介しています。
過去の配信動画はYouTubeにもアップしています。
Tatsuya Ihara Live Drawing
2時間の配信を4分割してアップしているので、動画「その4」が「漫画紹介」になっていることが多いです。
紙の単行本は2007年4月23日初版、定価714円(税別)ですが、2023年3月現在、amazonでは4196円になっていますね。
2011年の読切も収録された「仮面ライダーをつくった男たち 1971・2011」はなんと16675円の値が付いています。
Kindleは2022年9月に配信され、748円になっていますね。
・紙単行本(amazonリンク)
・Kindle(amazonリンク)
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