*一番上の画像は僕所蔵の本です。「バベルの設計士」(芦藻彬・著/実業之日本社)より引用
6月19日に芦藻彬さんの「バベルの設計士」が発売されました。
4000年前のメソポタミア、「バベルの塔」建設をめぐる設計士の漫画です。
作者の芦藻彬さんとは知人でもありますので、今回は単行本発売の応援を兼ねまして紹介していきたいと思います。
(あらすじ)
4000年前のメソポタミア、ハンムラビ王が統治するバビロンは全土統一を果たしていた。
ハンムラビ王は世界を統一する証として、「輝く太陽に届く塔」の建設を命じた。しかしバビロンではそれを設計できる者はいない。
噂では、かつての大洪水のときに大きな箱舟を造ったノア、その末裔であるニムロデという天才設計士がディルムンの地にいるという。ニムロデなら「輝く太陽に届く塔」の設計が可能であると。
ハンムラビ王は宮廷設計士のガガに、10日でニムロデを連れて来るように命じた。
10日以内にニムロデを探せなければガガの命は無い。ガガは王の命を受け船でユーフラテス川を下っていった。
「バベルの設計士」は元々「ジヘン」というサイトで連載されていましたが、「ジヘン」の事業終了のため、現在は「COMICジャルダン」に移籍しています。
単行本の表紙の人物が、宮廷設計士のガガです。
若くして高度な設計技術を持ち、ハンムラビ王お抱えの宮廷設計士となりますが、ガガは将軍の息子であり、武人の家系で生まれ育ったガガは家では肩身の狭い立場になっています。
戦場で戦う者こそが価値がある世界では、戦えない者には居場所はありません。しかしガガは設計をすることに自分の戦場を見出し精進していきます。
言ってみればガガは努力型の「秀才」です。
ガガはハンムラビ王の命を受け、ニムロデ捜索の旅に出ます。そこで出会うニムロデの設計の才能にガガは驚愕します。
ガガは努力型の「秀才」ですが、ニムロデは感覚型の「天才」だったのです。
物語は主にガガの視点で進みます。ガガの設計士としての葛藤、天才ニムロデに対しての感情の動きが惹き込まれます。
「輝く太陽に届く塔」は言ってみれば「バベルの塔」ですが、その建設については旧約聖書で描かれているとはいえ、それが漫画としてどう描かれていくのか、今後の展開が楽しみです。
今回の単行本は「上巻」となっているのですが、果たして「下巻」でまとまる内容なのかが気になります。
*2020年12月18日に下巻が出版されました。
「ジヘン」での連載分を収録するならプラス描き足しでまとまると思うのですが、「ジヘン」での最終回が無理矢理感が強かったので(ジヘン事業終了のためとはいえ)、できれば作者的にも納得いく形で完結してもらえればと思います。
芦藻さんとは、2年前「世界のマンガについてゆるーく考える会」にて初めてお会いしました。
この会はバンドデシネ翻訳者の原正人さん主催の会で、僕は数回参加していました。
芦藻さんはこれからヴェネツィアへ留学するとのことで、イタリアや世界のマンガ事情を知りたいということで参加されていました。
僕はイタリアの「ヨーロッパ漫画学院」の非常勤講師であり、また「ユーロ漫画出版社」から「Le Custodi dello Spirito」(潮騒の巫女)を出版していたこともあり、芦藻さんとイタリアについての話で盛り上がりました。
このとき僕は「潮騒の巫女」の日本語サンプル版(自作文庫本。営業活動のために製作)を持参していたので芦藻さんにプレゼントしました。
後日、芦藻さんから同人誌が送られてきました。
芦藻さんは学校で建築を勉強されているので、背景がスゴイです。
右側は芦藻さんが設計した建築物のシートです。芦藻さんデザインの建築物がまた良いんですよ。有機的というか、生活の匂いが感じられるのがスゴイです。
サインもいただきました。
芦藻さんがヴェネツィア滞在中に、僕も専門学校の仕事で1か月間ピサに滞在することになっていたので、イタリアで会おうと約束をしました。
しかしこのとき専門学校は、学校の規模拡大のためにイタリアの文科省(?)での申請が必要になり、その忙しさのため日本から講師を呼ぶ余裕が無くなってしまい、僕の滞在予定が無くなってしまいました。
結局、芦藻さんとはイタリアでお会いすることは叶いませんでした。それがとても残念です。
芦藻さんはヴェネツィア留学中、現地で「バベルの設計士」を描いて連載しています。
芦藻さんは原稿をアナログで描いて、仕上げをデジタルでしています。「バベルの設計士」はスタッフ数人が背景を描いていますが、データを日本とイタリアでやりとりしていたようです。デジタルは国境を越えて漫画作業が出来るので、21世紀の漫画製作って感じです。
芦藻さんとはイタリアでお会いすることは叶いませんでしたが、芦藻さんが帰国してから、芦藻さんが所属している団体がイベントを主催していたので、芦藻さんがブースを出展するとのことだったので僕は見に行きました。
当日、イベント会場で久しぶりに芦藻さんとお会いしました。
会場にあった芦藻さんの同人誌を購入しました。これは芦藻さんのデビュー作である「微分、積分、世界の終わり」の登場人物が出て来る別エピソードです。
サインと「バベルの設計士」のガガくんを描いていただきました。
作画配信内での「バベルの設計士」の紹介(13:20より)
「漫画紹介」については、僕が以前からおこなっているニコ生作画配信(現在は都合により中断)でも紹介しています。
伊原達矢の「お絵描き中(継)」
2時間の配信の中、主にラスト30分から紹介しています。
過去の配信動画はYouTubeにもアップしています。
Tatsuya Ihara Live Drawing
2時間の配信を4分割してアップしているので、動画「その4」が漫画紹介になっていることが多いです。
紙単行本、Kindle共に発売中です。
2020年12月18日に下巻が出版されました。
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僕の本棚には、僕の趣味で保管しておいた漫画が、期せずして「お宝」になってしまったものが数多くあります。
「お宝」といってもプレミアが付いて値段が高騰しているものという意味ではありません。
存在そのものが希少となり、現在、紙媒体として入手困難なものを僕の中で「お宝」と定義しています。
「お宝」とまではいかないものの、一風変わったレア度の高いものは、「漫画紹介」のカテゴリに入れています。
このブログではそんな「お宝漫画」などを紹介していきます。
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