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【漫画紹介】「2001夜物語」星野之宣・著【おすすめ】

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*一番上の画像は僕所蔵の本です。「2001夜物語」(星野之宣・著/双葉社)より引用

言わずと知れた星野之宣先生の名作です。「2001夜物語」のタイトル自体、「アラビアンナイト 千夜一夜物語」にかけている訳ですが、一夜ごとのSFショートストーリーの中に遊び心たっぷりのオマージュが散りばめられています。
以下のものが元ネタとして使われています。

・2001年宇宙の旅
・大いなる祖先(F・L・ウォーレス)
・地球光(アーサー・C・クラーク)
・豊穣の海(三島由紀夫)
・大渦巻への落下(エドガー・アラン・ポー)
・遥かなる旅人(A・バートラム・チャンドラー)
・スタートレック
・宇宙の孤児(ロバート・A・ハインライン)
・宇宙家族ロビンソン
・悪魔の星(ジェイムズ・ブリッシュ)
・天の光はすべて星(フレドリック・ブラウン)
・明日を越える旅(ロバート・シェクリイ)
・見知らぬ者たちの船(ボブ・ショウ)
・鳥の歌いまは絶え(ケイト・ウィルケルム)
・愛に時間を(ロバート・A・ハインライン)
・緑の星のオデッセイ(フィリップ・ホセ・ファーマー)
・遥かなる地球の歌(アーサー・C・クラーク)
・夜の大海の中で(グレゴリイ・ベンフォード)

ざっと見ただけでもこれだけあります。まだまだネタが潜んでいるかもしれません。

(あらすじ)

人類の宇宙開発、宇宙進出の行く末を未来へ順々に語り継ぐ一大抒情詩的な構成になっています。
また一夜ごとのエピソードにリンクされた内容があり、一夜一夜ごとのエピソードは別物でも、歴史的に大きな流れとして繋がっているように描かれています。

僕は「2001夜物語」の第1夜が掲載された「月刊スーパーアクション」(双葉社)を偶然見つけて、以来ずっと購読していました。
そのため僕は雑誌掲載された「2001夜物語」を全部所有しています。それもあって単行本が出たときに「?」となった箇所を見つけました。

双葉社版の「2001夜物語」の単行本は装丁がなかなか素晴らしいです。サイズも大きくページ数も多いため読み応えがあります。
雑誌掲載時のカラーもありますのでお得です。

しかし単行本を読むと、実はエピソードが雑誌掲載順とは違う箇所があるのが分かりました。

雑誌掲載では以下の順番でした

・第5夜 遥かなる旅人
・第6夜 宇宙への門
・第7夜 宇宙の孤児

しかし単行本では以下の順番になっています。

・第5夜 宇宙の孤児
・第6夜 宇宙への門
・第7夜 遥かなる旅人

第5夜と第7夜が単行本収録の際に入れ替わっています。
僕の考えですが、これは多分、単行本はカラーページも収録されているので、第7夜のカラーページを入れるのは印刷上、位置的に難しかったのではと思います。
「第7夜 宇宙の孤児」の中では、「20年前のディスカバリー計画」というセリフで「第5夜 遥かなる旅人」のエピソードを紹介しています。
「2001夜物語」は基本的に未来へ時系列順にエピソードが続いているのですが、単行本では第5夜と第7夜のエピソードが入れ替わっているので、第7夜がいきなり過去話になってしまっています。

これは後に中央公論社で出版された「中公愛蔵版」でも第5夜と第7夜が入れ替わったままです。エピソードが時系列順で進んでいないので「第5夜 宇宙の孤児」の中で「ディスカバリー計画」の紹介をされても「?」という感じになってしまうのです。

「2001夜物語」の単行本は、最初の双葉社版は装丁がカッコイイです。しかし中の印刷が「紺インク」なんですよね。
多分、宇宙漫画としての特色を出そうとして青味がかったインクで表現しようと編集部が考えたのでしょうが、これが僕はあまり好きではありません。
印刷が安っぽく見えるので、そこが残念です。

その後出版された「中公愛蔵版」は黒インク印刷なのでとても綺麗です。
しかし雑誌掲載時のカラーページは全部モノクロになっています。

双葉社版全3巻が1冊でまとまっているので読み応えはあるのですが、カラーページが収録されていないのが残念ですね。
カラーページがモノクロ収録なら、せめて第5夜と第7夜の入れ替えをしてもらえたらポイント高かったのですが。

「2001夜物語」には実は最終回以降に発表された「外伝」があります。
これは「2001夜物語」が掲載されていた雑誌「月刊スーパーアクション」の休刊号に掲載された「2001夜物語 外伝 夜の大海の中で」です。「2001夜物語」は雑誌休刊前に連載は終わっていましたが、外伝として休刊号に寄稿されました。

双葉社版の単行本が全部出た後の掲載なので、当然単行本収録されていません。「中公愛蔵版」にも収録されていません。
僕が持っているスクラップは長い間「お宝」状態になっていました。

しかし外伝が発表されてから20年後、2006年に「2001+5」(双葉社)という単行本が出て外伝が収録されたので、この外伝は「お宝」ではなくなってしまいました。

それでも僕にとっては「お宝」です。月刊スーパーアクションから切り抜いた「2001夜物語」は全部コンプリートしていますので、とても貴重です。

それにしても月刊スーパーアクションって信じられない雑誌でした。
星野之宣先生と諸星大二郎先生が同じ雑誌で連載されてましたからね。
それだけでなく他にも、いしいひさいち先生、板橋しゅうほう先生、西岸良平先生、坂口尚先生、谷岡ヤスジ先生、花輪和一先生、藤原カムイ先生、山上たつひこ先生など、奇跡のようなラインナップでしたからね。

僕は以前は月刊スーパーアクションは雑誌のまま保管していたのですが、収納スペースを確保するために、必要な原稿だけ切り抜いて残し他は処分してしまいました。今はそれが悔やまれます。

「2001夜物語」は電子書籍で読むことが出来ますが、電子書籍では雑誌掲載時のカラーはモノクロになっているようです。
電子書籍ではどのページにカラーページを差し込んでも「印刷上の問題」は全然無いので、カラーページをどんどん収録していけばいいのにと僕は思うのですが。
それに「2001夜物語」の頃の星野之宣先生の絵は描き込みが多かったので、スマホで読むには少し厳しいかなとも思います。

出来れば紙の本で手で持って読んでもらいたいなと思う漫画です。

 

追記:
ブログにコメントをいただいた喜多丈さんからのお話しでは、「2001夜物語 原型版」が光文社から出ていて、それはカラーページ全収録で、エピソードが雑誌掲載順に収録されているそうです。
喜多丈さん、情報ありがとうございました。

2001夜物語 原型版 上 (光文社コミック業書"SIGNAL")

2001夜物語 原型版 下巻 (光文社コミック業書"SIGNAL")

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